Cantillon Effect
2,100 sats
カンティロン効果は、インフレが社会に与える影響が一様でないことを指摘するものです。社会的経済的地位や産業、事業規模によって、通貨供給拡大、つまり通貨膨張(=インフレ)によって受ける影響の度合い、時期に差があります。
他の条件が一定だとすると、通貨膨張により、モノやサービスなど財の価格は上がります。ただ、価格調整は瞬時ではなく徐々に進みます。カンティロン効果は、新規に発行された通貨を最初に受け取る層、すなわち通貨の独裁発行権を持つ中央銀行や信用創造で通貨供給を増やせる銀行に近い人々は、価格が上昇する前に消費できる裁定機会を与えられます。無から通貨を作り出す銀行とその周囲の人々は、他の人たちよりも割安に財を入手できます。
新規供給された通貨が中央銀行、民間銀行から、大企業、富裕層、投資家、庶民へと行き渡る過程で、通貨膨張の影響が財の価格に徐々に織り込まれ、上昇します。庶民が通貨を手にする頃には、財の価格は上昇しているため、銀行周辺の人たちよりも高値での購入を強いられます。
このように通貨膨張は、新規供給通貨を最初に受け取る人々には利益、受け取る順番が遅い人には不利益を与えます。中央銀行銀行に近い層(銀行、大企業、富裕層など)が享受する利益の源泉は、購買力の低下という庶民が払う犠牲です。
カンティロン効果は、通貨膨張を介して政府が庶民の購買力を不当に奪っていることを示します。通貨膨張、すなわちインフレは、非立法的かつ逆進的な税金と見なすことができます。
コンテンツの著作権は River Financial に帰属します。二次利用の可否は権利者にご確認ください。 / All rights reserved to River Financial.